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情状弁護は「ほめ達」で

8 月 28th, 2010

皆さんは,「ほめ達」という言葉をご存知だろうか。

 

目の前の人や物・商品やサービスなどに独自の切り口で価値を見つけ出す価値発見の達人のことをこう呼ぶそうで,有限会社C’s代表取締役の西村貴好氏の作った言葉(商標登録もしており,「ほめ達検定」なるものもあるとのこと)です。

 

先日,西村氏のセミナーに参加してきたのですが,そこでは,「隣の席の人の良いところを指摘して下さい」と指示され,そのとおりにした後,「今度は隣の席の人の悪いところを指摘して下さい」(実際にはやりませんでしたが)と指示されました。また,「部屋の中で赤いものを探して下さい」と指示された後,「今度は目をつぶって部屋の中で緑色のものを思い出してください」(部屋の左右の壁には大きな緑色の掲示板がありました。)と指示されました。

 

隣の人の良いところを指摘しようとすると一生懸命その人のことを見てしまうのに,悪いところを指摘しようとするとまじまじと見ることが出来なくなりました。また,大きな掲示板があったのに,赤いものを一生懸命探していると,目に留まることもありませんでした。

人は,意識的に,見たいと思うものだけを見ており,意識しておかないと目にも留まることがないことが世の中にはたくさんあるということを実感させられる内容でした。

 

一見欠点にしか見えないものでも,意識して見方を変えると長所と考えることもできるという考え方は,人の粗探しばかりをして減点方式で評価していくと,つきあえばつきあうほど嫌いになっていくのに対し,良いところを探して加点方式で評価すれば,つきあえばつきあうほど好きになっていくという,人付き合いの極意にも通じるものだと感じました。

 

「ほめ達」は企業のスタッフ育成の手法としてメディア等で取り上げられていますが,刑事事件の情状弁護にも応用が可能ではないかと思っています。

情状が争点となる刑事裁判では,検察官が「こんな犯罪をするようなヤツなのだから,悪いヤツに決まっている」という視点で被告人を見るのに対し,弁護人は「こんな犯罪をしてしまった,しかし,こんな良い所もある」という視点で被告人を見るからです。

弁護人は「ほめ達」でなければならないのです。

 

弁護士 横尾和也

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