不当解雇,賃金未払いや労災等の労働相談を受けた際,相談者から「労働基準監督署(労基署)には行ってみたのですが,『弁護士に相談してみたら?』と言われた」という話を聞くことがある。
逆に,労働相談だということで話を聞いてみると,経営者がどうやら違法なこと(例えば労災に入っていないとか,サービス残業をさせている)をしているようなのでやめさせたいという意向の相談者もおり,その際は,「労基署に行って事情を話してみて下さい。」とアドバイスすることがある。
自分の中では,金銭的な要求がある場合は弁護士で,職場環境の改善を望んでいる場合は労基署にという一定の基準を設けているつもりだが,果たしてそれが妥当なものなのかどうか,労基署の仕事内容を知る必要があるな・・・と感じていたところに,毎週読んでいる漫画雑誌で労働基準監督官が主人公の漫画の連載が始まった。
この度,ようやく単行本化されたので,皆さんに紹介しておこう。
タイトルは,「ダンダリン一〇一」(原作:とんたにたかし,漫画:鈴木マサカズ,モーニングKC 講談社)というもので,主人公段田凛の名前と,労働基準監督官の権限が規定されている労働基準法第101条の条文番号をくっつけたもののようだ。
漫画なので大げさに描いているところもあるのかも知れないが,なかなか知る機会の無い労基署の仕事を知るのには格好の漫画だと思います。発売されたばかりなので,興味があれば本屋で探してみて下さい。
連載は現在ストップしており,この一冊だけで続刊の予定が無いような感じなのが残念です。個人的には続刊を希望したい作品なのですが・・・。
弁護士 横尾和也