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三越事件に学ぶ

3 月 12th, 2011

1982年9月22日,三越の取締役会でのこと。当時の岡田茂社長が五号議案までを終えた後,経営改善案を内容とする六号議案について「それじゃ杉田君,説明して」と言ったところ,立ち上がった杉田忠義取締役は,岡田社長解任の緊急動議を提案した。

出席していた取締役は岡田社長を除いて全員が起立し,岡田社長の解任が決議された。

岡田社長が「なぜだ!こんな方法ってあるのか?違法で無効だ!」と抗議した(「なぜだ!」は1982年の流行語となった。)ところ,三越の顧問弁護士は「いえ,有効です」と答えたという。

 

 招集通知に記載されていない目的事項を決議した取締役会決議の効力については,過去の裁判例では有効とされている(名古屋高裁平成12年1月19日判決)ようだが,目的事項を通知した場合は,その事項に加えて「その他」と書いていた場合や,取締役全員が出席した場合を除いては,通知した事項とこれに関連する事項以外は決議できないという説もある。

  

法科大学院の会社法の講義でこの三越の件が話題に挙がったのを思い出し,今回いろいろと調べてブログに書いている訳ですが,前提条件によっては岡田社長のいうように「無効」になるケースもあるかもしれませんね。私がもし同じような状況に遭遇した時,上記の顧問弁護士のように「いえ,有効です」と即答できるようにしたいものです。

  

ちなみに,岡田茂氏は1982年10月29日,愛人の「三越の女帝」竹久みちに不正な利益供与を行っていたとして,特別背任の容疑で逮捕されている。その後起訴され,懲役3年の実刑判決(高裁)が下り,最高裁判所へ上告していたところ,1995年7月20日に死去し,公訴棄却となったようだ。

 

弁護士 横尾和也

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