先日,大阪地裁に代理人として申し立てた法人代表者の破産手続きで債権者集会に出頭したところ,書記官から,「大阪地裁で今年度から試行的にやることになりました。」と「集団債権者集会」なるものの説明書きを渡された。末尾にはその手続きに同意するか否かを回答する箇所が設けられており,同意しなければ通常の債権者集会の手続きでやることになるようだ。
大阪地裁の自己破産手続きでは,債権額が多額ではなく,個人事業主や法人の代表者でもなく,管財人を選任するだけの財産すら残っていない場合,破産手続開始決定が出ると同時に破産手続が終了され(「同時廃止」と呼んでいる。),申立人が破産手続開始時の借金を返さなくてもよい状態になること(免責)について債権者が意見を述べる期間を経て,開始決定から2ヶ月ほどで免責される。
弁護士が代理人として申し立てし,免責について特に問題のない人の場合は,書面審理のみで,裁判所に行くことなく免責されることもある。ちょっと浪費してしまった場合など,免責不許可事由に引っかかっている人は,免責して良いかどうか,裁判官と面談(審尋)した上で決められる。厳密には,破産申立て時にも審尋がなされることがあるが,審尋は免責時にのみ行われる(免責審尋)ことが多い。免責審尋は,たいてい,裁判官から「何故借金がこんなに増えてしまったか分かっているか?」「免責不許可事由になっているのは何故だと思うか?」「二度とこんなことにならないようにどうするか?」等といったお言葉を頂戴して終わる。
管財人を選任できるだけの財産が残っていたり,法人の代表者が申立人である等の場合,管財人を選任したうえで財産を換価し,債権者に配当する手続きを進めていくわけだが,管財人の調査の結果,換価する財産がないか,手続きを進めていくだけの費用が捻出できないことが分かった場合は,手続きの終結を待つまでもなく途中で終了し(「異時廃止」と呼んでいる。),その時点で申立人は免責される。
ただ,異時廃止にする場合は,債権者に意見を聴かなければならないことになっている(破産法217条1項後段)から,債権者集会が開かれることになる。ところが,貸金業者はたいていの場合,債権者集会に出席しないので,申立人とその代理人,管財人だけが出席し,ものの数分で終わってしまう(その日付けで手続きが廃止される)ことも多い。
そこで,債権者が1名も出席せず,正式な配当ができない事件を集めて,大部屋に申立人・申立人代理人・管財人の組を同時に呼んで,集団で債権者集会をやって効率化を図ろうということなのだろう。
集団債権者集会の手続きに同意し,会場に臨んだところ,そこに集められたのは11組。裁判官から,本日付けで破産手続が廃止され,近いうちに免責ということになるだろうと説明があり,最後に管財人から申立人に一言ずつ話をする時間が設けられ,集会は終了した。所要時間は10分ほどだった。
これまで,免責審尋を集団でやることはあったのだが,ここまで効率化しないといけないほど,破産申立ての件数が増えているのだろうか・・・。
弁護士 横尾和也