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当番弁護士

8 月 24th, 2011

日本国憲法34条には,「何人も,・・・弁護人に依頼する権利を与えられなければ,抑留又は拘禁されない」と規定されている。一方,日本国憲法37条3項を見てみると,「刑事被告人は,・・・弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは,国でこれを附する。」と規定されている。

これは,憲法の規定上,いわゆる国選弁護人は,刑事事件の「被告人」として起訴されてしまった後にしかつけてもらうことが出来ず,犯罪を犯したとの嫌疑をかけられて逮捕され,「被疑者」となってしまった時点では,弁護人を依頼する権利があることを告げられるだけということを意味する。

逮捕されてしまった段階では国選弁護人をつけてもらうことは出来ないが,私選弁護人を依頼する資力(財力)があれば,弁護人を選任することができるというわけだ。

 

憲法上は上に書いたとおりなのだが,弁護人をつけたいが資力がない場合,起訴されるまで弁護人がつかないのかというと,そうでもない。実は,一定の犯罪(死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件)に限定されてはいるが,勾留状が発せられている段階で,国選弁護人をつけてもらうことができる(刑事訴訟法37条の2)。

逮捕された後,勾留請求までには最大72時間という制限時間がある(刑事訴訟法205条2項等)。つまり,一定の犯罪に該当する場合は,最長72時間(3日)我慢すれば,国選弁護人をつけてもらえるというわけだ。ちなみに,起訴前の勾留期間は勾留請求の日を含めて20日(原則10日だがさらに10日延長可能。刑事訴訟法208条)だから,一定の犯罪に該当しない場合,逮捕されてしまうと最大23日,弁護人がいない状態で取調べを受けることになる。

 

逮捕された後の手続きや,黙秘権・供述調書への署名捺印を拒否できる権利といった被疑者の権利をよく理解しておくことは,被疑事実をそのまま認める場合であっても重要であるところ,私選弁護人をつけるほどの資力がない場合,その機会がないということになる。これが,冤罪の原因になるとして,多くの学者や実務家から問題視されていた。

 

前置きが長くなったが,当番弁護士は,その問題を解決するために日本弁護士連合会によって提唱されてできた制度だ。

逮捕された際に,警察の人に「当番の弁護士を呼んでください。」と言えば,その日に待機している当番の弁護士が,弁護士会から連絡を受け,1回目だけ無料で面会に行き,アドバイスを行うことになっている。逮捕された本人以外でも,家族・友人・会社の同僚など,誰でも依頼できる(大阪弁護士会の当番受付電話番号は06-6363-0080)。休日や夜間でも,留守番電話で対応し,当番の弁護士に連絡される。

この制度は,私選弁護人を選任するだけの資力があるが,弁護士の知り合いがいない人も用いることができ,平成18年10月からは「私選弁護人紹介制度」と名を変えている。

 

当番でかけつけた弁護士が気に入り,その場で事件を依頼する場合は,私選弁護人として選任することになる。私選で依頼するだけの資力がない場合でも,一定の犯罪で勾留された段階や,そうでない場合に起訴された段階で,その弁護士がそのまま裁判所から候補者として打診され,国選弁護人としてつくことになることも多いようだ。

 

弁護士 横尾和也

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