去る2月10日,日弁連会長選挙が行われた。
大先輩の弁護士に聞いた話によると,日弁連会長というのは,いわば名誉職で,昔は任期1年(昭和55年度から2年になった)で,現職が再任することもなかったようだ。
ところが,今回,立候補者が4人も出たことや,現職の会長が再選を目指して立候補していることで,弁護士以外の人にも俄然注目されているとのことである。
日本弁護士連合会会則には,「投票による最多得票者が当選者となるには,弁護士会の総数の三分の一を超える弁護士会において,それぞれ最多票を得ていなければならない」(61条2項)と規定されており,弁護士会(単位会)の総数は52あるから,18以上の単位会で最多票を得なければ,全体で最多票を獲得しても,当選できないことになっている。
その場合,得票の多い候補者二人について再投票を行い(61条の2第1項),それでどちらの候補者も61条2項の要件を満たさなかった場合は,再選挙を行う(61条の3第1項),つまり,選挙を一からやり直すことになっている。
現職の宇都宮健児弁護士が2年前に会長となった際,上記の「再投票」が行われており,注目されていたところだが,今回も,全体で最多票を得た山岸憲司候補(7964票)が12の単位会でしか最多票を得られず,次に得票の多かった宇都宮健児候補(6613票)との二名で再投票が行われることになった。
再投票の投票日は3月14日に決まった。
宇都宮健児候補は37の単位会で最多票を得ているが,山岸憲司候補が10票以内の僅差で敗れた単位会が10単位会もあり,かなり接戦だったようだ。
全体の投票数は19889票,投票率は62.28%だとのことで,2月10日に投票に行っていない人や,他の2名の候補に投票していた人が,再投票でどちらの候補に流れるのか,楽しみなところだ。
弁護士 横尾和也