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罰金の納付

6 月 23rd, 2012

逮捕されてしまった依頼者の捜査段階の弁護人として活動していた事件で,担当検事に終局処分の見通しを聞いてみたところ,略式命令を請求することになるだろうとのことだったので,処分日の夕方から検察庁まで出向き,依頼者を迎えに行った。

本来,出迎えをするのは親族等の役目だと思うが,ここまでやっている弁護人もわりといるようで,待合スペースには私のほかにも弁護士が来ていた。

 

略式命令とは,刑事訴訟法461条に規定されている手続で,テレビでよくやっているような公開の法廷によるものではなく,簡易裁判所での書面のやりとりだけの手続によって罰金や科料を科すものだ。略式命令で終わると,裁判を受けたという意識がない人も多いが,これもれっきとした刑事裁判である。

検察官は,略式命令を請求するにあたって,被疑者に対して,略式手続によることについて異議がないことを書面で確かめなければならないことになっており(刑事訴訟法461条の2),被疑者は「略式請書(りゃくしきうけしょ)」という書類にサインをすることによって,異議がない旨意思表示する。

 

勾留されている被疑者は,処分日に検察庁で略式請書にサインした後,検察官が略式命令を請求するのを待って簡易裁判所に行って略式命令の送達を受け,その足で検察庁まで戻ってきて,罰金を納付して帰る(これを「三者在庁略式」と呼んでいる)パターンがほとんどだという。

弁護人が被疑者を「迎えに行く」とはどういうことかというと,お金を自力で用意できない被疑者に代わってあらかじめ検察官に聞いておいた罰金の見込み額を親族等から手配して検察庁まで持っていき,略式命令が送達されたという連絡を受けてから罰金を納付しておいてあげることをいう。出迎える時間がないという場合は,罰金の見込み額を被疑者に差し入れておく(本人がお金を持ったまま勾留場所から裁判所,検察庁に行って納付)という方法もある。

 

三者在庁略式によらない罰金(正式裁判で罰金刑となった場合等)は,裁判が確定した数日後,検察庁から納付の通知書が送られてくるので,納付期限内に通知書に指定された金融機関に納めればよい。

 

納付期限を過ぎてしまった場合,そのまま放置して罰金の裁判が確定した後30日以上(科料については10日)過ぎてしまうと,労役場留置が執行される可能性がある(刑法18条)。そうなると,労役場で働いて払う(1日5000円に換算することが多いようだ)ことになってしまう。好んで行く人はいないと思うが,承諾すれば,上記期間が経過する前でも労役場に行くことは可能となっている。

納付期限に納めるのが困難な場合でも,検察庁に連絡して延納,分納の申請をすれば認められる場合があるので,諦めてはいけない。ちなみに,納付期限を過ぎてしまった場合は,検察庁の出納係まで出向くか,現金書留で納付することになるようだ。

 

弁護士 横尾和也

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