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公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)

7 月 21st, 2014

「配偶者が突然子どもを連れて家を出てしまった。離婚はやむを得ないと考えているが,子どもとこのまま会えなくなるのだけは嫌だ。」という相談を受けることがある。
子どもが配偶者から虐待を受けている証拠があるといった例外的な場合(この場合は「子の監護に関する処分(監護者指定・子の引渡し)」を検討することになる)を除けば,家庭裁判所に離婚調停を申し立てる(その中で面会交流の時期,方法について定めることも求める)ことになる。
このような事案では,子どもを連れ去った配偶者が頑なに子どもに会わせようとせず,「子どもも相手を嫌っており,会いたくないと言っている」と主張することがままある。
しかし,果たして本当にそうなのだろうか?

ほんの数ヶ月前まではどちらの親のことも好きだった子どもが,両親の別居をきっかけにして,別居親に対してだけ強い拒否反応を示すことを片親疎外(Parental Alienation)という。
同居親は,意識的であれ無意識であれ,常日頃から子どもに別居親の悪口を言ったり,別居親の話題が出たら不機嫌になったり,極端な話になると別居親の存在を消そうとする(死んだとか,遠くに行ったという話をする)ので,子どもは,別居親が自分にとって不要な存在であるという印象を植え付けられていくことになる。両親の離婚紛争に巻き込まれた子どもは,忠誠葛藤の中で同居親の愛情を失わない為の生存戦略として,能動的に片親疎外に加担すると言われている。
上記のような主張をする人には,自分の感情を子の感情と同一視していないかどうか,子どもが片親疎外に陥っていないかよく考え,安易にそのような主張をして子どもを父性・母性の片一方しか実感できない環境に置くようなことはしてもらいたくないと思っている。

両親が離婚してしまった後といえども,子どもにとって2人が親でなくなることはない。
面会交流は,子どもが親の愛情を確認し,健全な心で成長していくための,子どものためのものである。子どもとの面会交流の取り決めの中に他の離婚条件との取引(「養育費を払わないなら子に会わせない」等)を持ち込もうとする人もいるが,それは根本的に間違えている。

公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)では,家庭裁判所の手続ではなかなか解決しづらい面会交流の問題等に対し,相談や援助を行っている。
同センターで行っている離婚協議等調停手続(かいけつサポート)は,家庭裁判所のものと違って,夫婦同席で行われ,休日や夜間でも調停が開かれることになっている。冒頭では,家庭裁判所に調停を申し立てることになると書いたが,夫婦同席のもとで将来に向けて話し合いをしたいという気があるのであれば,FPICを利用してみるのも良いのではないだろうか。
ホームページアドレスはhttp://www1.odn.ne.jp/fpic/
大阪ファミリー相談室の電話番号は06-6943-6783 (申込受付は月~金 午前10時~午後4時)

弁護士 横尾和也

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