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訴訟費用(民事編)

5 月 25th, 2011

民事訴訟では,訴訟費用は敗訴した側が負担することになっている(民事訴訟法61条)。そのためか,依頼者から,「訴訟費用には何が含まれるのですか?」と聞かれることがある。

「民事訴訟費用等に関する法律」の第2条を見てみると,訴訟費用に含まれる項目はいろいろあるが,依頼者から聞かれた場合,必ず説明するのは申立手数料,郵便代,証人の旅費・日当だ。

 

申立手数料,郵便代について説明するのは,冒頭にも書いたように,訴訟費用は敗訴した側が負担することになっているものの,原告として訴訟を提起する際,裁判所に申立手数料と訴状等を送達するための郵便代を立替払いすることになるからだ。訴状に申立手数料分の収入印紙を貼り付け,郵便代は郵券(切手)を裁判所に予納する(余った郵券は返してもらえる)。申立手数料は訴訟の目的の価額(被告に請求する金額だと思えばよい)が高いほど高くなっていく。ちなみに100万円請求する場合は1万円,500万円請求する場合は3万円,1000万円請求する場合は5万円となっている。目的の価額を算定できないか,算定が極めて困難な場合,160万円とみなされる(民事訴訟費用等に関する法律4条)。 

原告は被告に勝訴した後,訴訟費用確定処分の申立というのをして,その中で,今まで立て替えていた印紙代と郵券代を請求する(敗訴したらそのまんま)ことになる。相手が全くお金を持っていない場合,立て替えた訴訟費用すら回収できないこともありうる。この仕組みをあらかじめ説明しておかないと,原告の立場の依頼者から「なぜ費用をこっちが払わんといかんのや」と言われてしまうことにもなりかねない。

原告に訴訟費用を立て替える余裕のない場合は,判決が出るまで印紙代の立替を猶予する(和解で終わった場合は原告負担になってしまうので注意が必要)訴訟救助という制度もある。

 

証人尋問を行った場合,証人に旅費・日当が発生し,これも訴訟費用に含まれる。一応,依頼者には説明するのだが,私の経験上,証人の旅費・日当請求権は放棄されることも多い。

 

よくある質問に,「弁護士費用は訴訟費用に含まれるか」というのがあるが,これは含まれない。但し,不法行為(交通事故を含む刑事事件の被害が典型)による損害賠償請求訴訟では,請求認容額の1割程度の弁護士費用が不法行為と相当因果関係のある損害として認められるので,このような形で被告に一部なりとも弁護士費用を負担させることができる。

 

紛らわしいが,刑事事件の国選弁護人費用は,訴訟費用に含まれる。刑事訴訟の訴訟費用についても説明しておきたかったが,今回,民事訴訟の費用の説明だけでかなり長くなってしまったので,刑事訴訟の費用については次回ということで。

 

弁護士 横尾和也


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