職業柄か,本屋で弁護士が主人公の漫画や,裁判がテーマの漫画が並んでいると,ついつい気になって買ってしまったりしているだが,その中で,いい作品だと思っていたものがこの度完結したので,みなさんに紹介しておこう。
タイトルは,「裁判員の女神」(実業之日本社マンサンコミックス)。作画は「大使閣下の料理人」のかわすみひろし氏,原作は「家栽の人」の毛利甚八氏,監修は神戸家裁判事のときに神戸須磨連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇聖斗事件)を担当した井垣康弘弁護士という,錚々たる顔ぶれ。
海鳴市という(どこかで聞いたことのあるような)架空の地方都市を舞台に,海鳴地裁での裁判員裁判をめぐる人間ドラマが展開されます。
絵はきれいでクセがなく万人向けだと思いますし,キャラクターの個性の点で多少誇張したところはあると感じましたが,そこは漫画のもつエンターテインメント性からは仕方のない範囲ではないかと。
他の裁判員裁判をテーマにした漫画に比べると,裁判の手続きの流れや難しい用語についても作中やコラムできちんと説明されていたりして,法律のことに詳しくない読者にやさしいものとなっていると思います。
裁判員裁判についてこの際勉強したいけど,活字だけの本を読むのもなぁ・・・と感じている人には,間違いなくオススメできます。
全部で5冊という分量ですし,正月休みに一気読みするのに良い作品をお探しの方は,ぜひ書店などで手にとってみて下さい。
弁護士 横尾和也