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大阪弁護士会のブログ 「ほないこか~(^o^)ノ」

6 月 10th, 2017

所属している大阪弁護士会知的財産委員会でブロガー担当を拝命することになった。
大阪弁護士会WEBサイトの「読み物」の一つに,大阪弁護士会所属の弁護士が弁護士の日常を記載している「弁護士の放課後 ほないこか~(^o^)ノ」というブログがあるのだが,ブロガー担当に選ばれた弁護士が交代でコラムをアップすることによって運営されている。
ブログのテーマは問われておらず,業務外のこと,弁護士会のこと,委員会活動のこと,法律トピックなど,何でも書いて良いことになっている。

当事務所のブログでは法律コラム的な内容のものをアップしてきたが,大阪弁護士会のブログでは「弁護士の放課後」らしく,業務外の柔らかめの話題をアップしていきたいと考えているところで,さっそく「音楽鑑賞」と題して先日行ってきた「青柳晋ピアノ・リサイタル」に関する話をアップしておいた。

「弁護士の放課後 ほないこか~(^o^)ノ」のページには,大阪弁護士会のホームページ(http://www.osakaben.or.jp/)の左側に並んでいるプルダウンメニューから「読み物」→「ブログ」と選択すれば行くことができる。
特定のブロガーの記事のみを選択して読むこともできるし,フェイスブックのアカウントをお持ちの方であれば,「いいね!」をすることもできるので,興味のある方は是非そちらのブログもご覧下さい。

弁護士 横尾和也

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写真と著作権

4 月 9th, 2017

春らしい陽気になり,あちこちで桜の花が咲いているのを見かけるようになりました。
こんな日は外に出かけて写真を撮り,久しく更新していなかったSNSに撮った写真をアップしようか・・・と考えている人もいるのではないだろうか。
先日,コンテンツビジネス・ラボ(CBL)が主催している「センター写真講座」のプレセミナーということで,著作権・肖像権について講演をさせていただく機会があったので,その内容の一部をご紹介しようと思う。

被写体の決定,撮影時刻,露光,陰影の付け方,レンズの選択,シャッター速度の設定,現像の手法等において工夫を凝らすことによる創造的な表現部分があれば,写真自体の著作物性が問題となることもあるのだが,被写体が著作物であった場合,写真を撮影することで著作物を複製していることになるケースが多く,そのことの方が問題であるといってよい。人物を撮影する場合には,その人物の肖像権にも配慮する必要がある。

撮影した写真を個人的に楽しむ場合には,著作権法30条に,個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(私的使用)を目的とする「複製」の場合,一部の例外を除き著作権侵害とはならない旨規定されているため,問題になることはない。しかし,写真をSNSにアップするということは,サーバー(自動公衆送信装置)に情報を記録するということになり,著作権法23条に規定する「送信可能化」にあたる。

セミナーでは,写真に関する裁判例として,出版用食品広告専門の写真家の作品とそっくりな写真が問題になった事案(東京高裁平成13年6月21日判決「みずみずしいスイカ事件」),照明器具のカタログの中に書道家の作品が映っていたことが問題となった事案(東京高裁平成14年2月18日判決「雪月花事件」),パロディモンタージュ写真が問題となった事案(最高裁昭和55年3月28日判決「マッドアマノ事件」),市営バスの車体に描かれていた絵画の複製が問題となった事案(東京地裁平成13年7月25日判決「市営バス車体絵画事件」)を紹介した。

デジタルカメラによって複製した著作物のデータは,インターネット等によって,世界中の不特定多数の相手に瞬時に送信できてしまう。私的使用のための複製や引用等,著作権の制限規定を理解していなければ,意図するしないにかかわらず,万人が著作権を侵害しうる時代になっている。
講演の後,質問がひっきりなしに飛び交い,この分野に関するセミナー参加者の興味の深さを感じた。機会があれば,またこのようなセミナーで著作権についての意識を高める活動をしていきたいと思っている。

弁護士 横尾和也

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窃盗症の刑事弁護

12 月 3rd, 2016

窃盗を繰り返して公判請求されてしまった被告人の中には,何らかの精神的な異常が原因で盗みを止めたくても止められなくなってしまっているのではないかと感じられる人がいる。
アメリカ精神医学会(APA)が作成している「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」の第5版(DSM-5。2013年5月18日出版)には精神疾患の一つとして「窃盗症」が挙げられており,以下の5つの診断基準が示されている(日本語訳はタイトル「精神障害/疾患の診断・統計マニュアル」として2014年6月30日に出版されている)。
①個人的に用いるのでもなく,またはその金銭的価値のためでもなく,物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
②窃盗におよぶ直前の緊張の高まり。
③窃盗を犯すときの快感,満足,または解放感。
④盗みは怒りまたは報復を表現するためのものでもなく,妄想または幻覚に反応したものでもない。
⑤盗みは,行為障害,躁病エピソード,または反社会性人格障害ではうまく説明されない。

窃盗症の患者を多数受け入れ,その治療を専門に行う赤城高原ホスピタル(群馬県渋川市)の竹村道夫院長によれば,「物を盗む衝動を抑えきれなくなる精神疾患であり,生活苦や職業的な理由から犯行に及ぶケースとは異なる。刑務所で服役して反省すれば改善するものではない」「患者には医師や公務員もいる。経済的に苦しい状況ではないのに,逮捕などのリスクに見合わない窃盗を繰り返す」という。
女性では摂食障害と合併して起こることがあり,万引きした商品や食料品を使ったり食べたりする訳でもなく,自宅にため込んだりしているのも特徴である。

このような被告人に対する弁護活動は,「刑務所での労役よりも,精神医学療法による治療こそが再犯防止のためにふさわしい」と主張するというものだが,「今回の件で逮捕されたことをきっかけに,治療を始めたいので保釈を・・・」という方針では裁判官になかなか受け入れてもらえない。
私の経験したものでは,摂食障害の女性の案件で,執行猶予中の犯行であったこともあって一審では実刑判決となったものの,控訴審では原審判決が破棄となり再度の執行猶予判決(保護観察付き)が言い渡されたものがある。このケースでは,前回の事件後,毎月欠かさず精神病院に通って摂食障害の治療を受けるとともに,主治医のもとで生活指導を受け,買い物には親族が同行する等の再犯予防策が講じられていたが,親族が怪我をしたために一緒に買い物に行くことができなくなったうちに犯行に及んでおり,経緯に同情の余地があった。

赤城高原ホスピタルでは,自らの過去や犯歴を告白したり相談したりすることで,考え方のゆがみを直す認知療法が主体に行われている。
おそらく入所者の治療プログラムの一環であろうと思われるが,私が(上記の方とは別の)弁護を担当した方の家族と一緒にホスピタルに伺った際にも,入所中のいろいろな方(女性ばかりであった)から話を聞かせていただく機会があった。話を聞いていると,根は非常に真面目な人たちばかりであり(中には立派な職歴をお持ちの方もいた),やはり生活苦や換金目的で窃盗を犯す人とは違う気がした。
私があの時ホスピタルを訪れてから1年10か月が経った。話を聞いた彼女らが無事ホスピタルを退院し,二度と窃盗を犯すことなく幸せな生活を送っていることを願っている。

弁護士 横尾和也

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海外の財産に対する強制執行

11 月 26th, 2016

日本よりも物価の安い東南アジア等でインフラが整備されてきたためか,日本国内のみならず,海外にも生活の拠点を持つ日本人も珍しくなくなってきたと感じる。
中には,国内でやらかした人が海外に逃亡(?)していることもあるようで,「海外に移住してしまった相手の海外の財産に対して差押え(強制執行)することはできますか?」という相談を受けることがある。

海外在住の相手であっても,民事訴訟法の規定する裁判籍のいずれかが日本国内にあるときは,特別の事情がない限りは日本で民事訴訟を提起することができる(民事訴訟法3条の9参照)。財産権上の訴え等については日本のどこかの裁判所に管轄が認められるはずである(民事訴訟法5条各号)。
海外在住の相手に対する訴状の送達については前のブログに書いているので繰り返さないが,問題は,送達が上手くいって勝訴判決を得たとしても,海外の財産に対してそのまま強制執行することはできず,当該国の裁判所で「判決の承認」という手続きを取らなければならないという点にある。

日本では,外国裁判所の確定判決は民事訴訟法118条各号に定める要件を全て満たしている場合に限って効力が認められており,例えば,アメリカでの懲罰的損害賠償を認める判決は同三号を具備しないとされ(最高裁判所平成9年7月11日判決),中国での判決は同四号(「相互の保証があること」)を具備しないとされる(大阪高等裁判所平成15年4月9日判決)。これらの点をクリアしたうえで,日本の裁判所で民事執行法24条に定める「執行判決を求める訴え」を別に提起して,ようやく強制執行が可能となる。
日本の裁判所の確定判決もこれとパラレルに考えればよい。

「相互の保証」がない国の場合どうなるのか?というと,残念ながら,日本で確定判決を得たとしても,効力が認められないため,強制執行はできないということになる。
このような場合であっても,ニューヨーク条約に加盟している国(中国や東南アジアのほとんどの国は加盟している)であれば,国際商事仲裁手続を利用するという方法がある。契約書等に「この契約からまたはこの契約に関連して,当事者の間に生ずることがあるすべての紛争,論争または意見の相違は,一般社団法人日本商事仲裁協会の商事仲裁規則に従って,日本国大阪において仲裁により最終的に解決されるものとする。」,「仲裁手続に用いる言語を日本語とすること及び仲裁判断において準拠すべき法を日本法とすることを合意する。」といった内容を記載する等してあらかじめ仲裁合意をしておく必要はあるが,手続きを全て日本語で,大阪で済ませることが可能である。
ただ,管理料金,仲裁人費用がそれなりの額必要となるのが難点といえる。

結局,判決,仲裁判断のいずれを得るルートであっても,当該国で強制執行の手続きをとる段階で,外国の弁護士に依頼せざるを得ず,外国語でのコミュニケーションが必要となってしまう。海外の財産への強制執行を受任するのであれば,信頼できる海外の弁護士との関係を構築しておくことも必須であろう。

弁護士 横尾和也

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国際弁護士とはいえないが・・・(3)不動産所有権の取得時効

11 月 26th, 2016

相続時に相続人間で協議がまとまらなかった,その存在が相続人に知られていなかった等の理由から,不動産登記簿上,故人の名義のまま放置されている不動産に関する相談(同様のケースは,故人が生前に第三者に不動産を売却したが,何らかの理由で所有権移転登記手続がなされなかった場合にも起こる)が持ち込まれることがある。
当該不動産を売却する場合,買主から,所有権の名義人をいったん売主の名義にすることを要求されることが通常である。しかし,何十年以上も放置されているうちに(子の代から孫の代となり)故人の相続人が20人,30人になっていることもあり,売主は,あちこちに散らばっている相続人全員と話をしなければならないことになって,非常に煩雑である。
中には,売主に所有権の名義を移すことに対し,すんなりと協力してくれない相続人がいることも考えられる。

もし売主が当該不動産に居住する等して占有しており,20年以上他の誰からも権利を主張されていない場合には,所有権の取得時効(民法162条1項)を主張して他の相続人全員に対して民事訴訟を起こし,勝訴判決に基づいて所有権移転登記手続をする方法がある。相続人の中に全く知らない人がいる場合には,こちらの方がスムーズに行くかもしれない。
この方法を取る場合であっても,いきなり裁判所から訴状が届くとびっくりする方もいるので,あらかじめ,電話や手紙で連絡を取り,不動産登記簿の名義人を変更するために訴訟を提起することになったこと等の経緯を説明するとともに,協力をお願いしておいた方が良い。その際,「判決では訴訟費用の負担を命じられるが,こちらからは請求しないので事実上は支払わずに済む(裁判所からは請求が行かない)ので安心して下さい。」等と説明すると,当該不動産に対して興味のない人が大半なので,協力してもらえることが多い。
相続人の調査は,戸籍謄本,除籍謄本,改製原戸籍を取得して行うところ,引っ越した後住民票を移していなかった等の理由から戸籍の附票に記載されている住所に訴状が送達できない場合があって難儀することがあるのだが,あらかじめ協力を要請しておくと,他の相続人からその所在を教えてもらえることがある。

「国際弁護士~のタイトルが今回の話にどう関わってくるのか」って?
察しの良い人はお分かりであろう。そう,相続人は「あちこちに散らばっている」のである。「あちこち」とは,「世界中に」という意味である。
海外に移住してしまった相続人の戸籍の附票を取得しても,「【住所】アメリカ合衆国」等としか書かれておらず,他の相続人からの協力でもない限り,所在を突き止めるのは不可能といってよい。
所在をうまく突き止められたとしても,海外で出生した相続人は日本語を解しないことも多く,上述の協力をお願いする文書をその国の言語で作成する必要も出てくる。
訴状の送達は領事送達や中央当局送達等という特別な方法となり,送達までにかなりの時間を要する。中央当局送達の場合,送る文書の翻訳文を用意する必要もある。

このように,渉外事件を大々的に扱っていない法律事務所であっても,事件処理のために外国語を駆使しなければならないケースがある。
「そんなときは,翻訳業者に頼めば良いのでは?」という意見もあるだろうが,外注だとコストと時間がかかるという問題がある(結局,翻訳してもらった文章が正確に訳されているかどうかをチェックする必要もある)し,「弁護士とスカイプで直接話したい」という海外の方もいたりして,いつまでも「日本語しか分からない」では済ませられないなぁと思っているところです。

弁護士 横尾和也

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国際弁護士とはいえないが・・・(2)占有移転禁止仮処分

4 月 12th, 2016

不動産明渡請求訴訟を提起する前に、占有移転禁止仮処分という民事保全法23条に基づく保全処分を行うことがある。訴訟を提起した後、判決が出る前に不動産の占有者が被告以外の第三者に変わってしまった場合、判決に基づく明渡の強制執行ができない。しかし、上記の仮処分を裁判所に発令してもらっておけば、その時点での占有者が対象不動産の占有者として固定されるので、同人を被告として明渡請求訴訟を提起すれば良い。この仮処分は、占有者を特定することを困難とする特別の事情があるときは、特定せずに申立てることもできる(民事保全法25条の2)。

占有移転禁止仮処分を申し立てる場合は弁護士費用を上乗せしてもらうことになるうえ、仮処分発令時に供託金(家賃の2か月分程度。占有者を特定せずに申立てた場合は高めになることが多い)と発令後に占有者を固定するために執行官に現地に行ってもらうことになるのでその費用(占有者不在の場合など、時によっては鍵屋の費用も)が必要になる。しかし、マンスリーマンション等の用途に用いる目的で、オーナーが物件管理会社に建物を賃貸し、その管理会社が使用者に転貸するケースでは、建物の占有者が次々と変わることは珍しくなく、オーナーが建物の占有者に対して明渡訴訟を提起する場合、占有移転禁止仮処分は必須だと言ってもよい。

先日、上記のようなケースで、管理会社が多額の家賃を滞納したため、オーナーから依頼を受けて管理会社に賃貸借契約を解除する旨の通知を内容証明郵便で送付し、占有移転禁止仮処分を申し立てた。賃借人に建物の使用権原がなくなれば、転借人にも建物の使用権原がなくなる(親亀がコケれば子亀もコケる)。管理会社が現在の転借人の情報を頑なに教えようとしなかった等の事情もあり、占有者を特定せずに申立てたところ、無事仮処分が発令され、執行のため、執行官、鍵屋とともに現地に赴いた。
昨今、街中で観光客と思しき外国人を見かけない日はないと言ってもよいくらいである。外国人観光客の予約が殺到し、都心のホテルは予約を取ることが難しくなっているという。賢明な方はもうお分かりであろう。マンスリーマンションに誰が居住していたのか・・・。

ドアを開けると、「I can’t speak Japanese…」ときた。占有移転禁止仮処分を申し立てた経緯など、日本語ですら分かりやすく説明することが難しいのに英語で説明できるはずはなく、テンパってしまって単語レベルの会話すらできなかった私の隣で執行官は「I am a marshal…Osaka district court…」と名乗り、英語で事情を聴き出しておりさすがと感心したものだ。執行官と占有者の会話を横で聴きながら、「tourism」「temporary」という単語をかろうじて聴き取ることができたことから、どうやら観光で一時的に利用しているだけであることが分かり、パスポートを見せてくれたことから、占有者の特定もできた。帰国する日程もかろうじて聴き出すことができたので、帰国したタイミングを見計らって管理会社が占有者であるとして再度占有移転禁止仮処分を申し立て、この件は無事解決に至った。

ところで、執行官のことを英語で「marshal」というのをどのくらいの人が知っているのでしょうね…。また、marshalがどんな仕事をしているのか知っている人はどのくらいいるのでしょうか。おそらく私もmarshalの一味だと思われていたはずなのですが、上記の占有者の方に去り際に「Have a good trip!」と言ったところ、「Are you policemen?」と返されてしまいました。
・・・かように仕事で外国語を駆使することは難しいと思い知った次第です。

弁護士 横尾和也

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国際弁護士とはいえないが・・・(1)外国法事務弁護士

4 月 12th, 2016

テレビなどで国際弁護士という肩書が用いられているのを見かけることがあるが、実際にそのような名称の資格は存在しない。ウィキペディアによれば、
1.日本を含む複数の国や地域の弁護士資格を有する者
2.弁護士資格は日本国外のもののみであるが、日本に居住・就業している者
3.日本の弁護士資格のみを有するが、職務や経歴上で外国や外国企業との関係が深い者
というパターンがあるらしい。


外国弁護士(外国において法律事務を行うことを職務とする者で弁護士に相当するもの)のうち特定の要件を満たす者を、法務大臣の承認を得て日本弁護士連合会に登録することによって、原資格国法に関する法律事務を行うことができる「外国法事務弁護士」という制度はあるが、外国法事務弁護士は上記のパターンのうち2しか含まれておらず、いわゆる国際弁護士とイコールではない。
ちなみに、外国法事務弁護士は、日本の弁護士資格がなくても日本国内において弁護士としての職務を行うことが認められるが、その職務範囲は原則として原資格国法に関する法律事務に限定されており、日本国内での民事・刑事訴訟等を行うことはできない。


私はといえば、事務所全体では外国人の事件を取り扱うことがあるものの、恥ずかしながら英語でのコミュニケーションに自信がないため他の弁護士に担当してもらうことでなるべくその種の事件には関わらないようにして(逃げ回って)きたので、国際弁護士と名乗ることはとうていできない。


しかし、昨今、経済社会のグローバル化、LCC(格安航空会社)の普及、円安等の影響なのか、外国人を街中で見かけない日はないといってもよいくらいになってきた。つい先日、平日の昼間に大阪城公園の近くに用事があったため、花見がてら大阪城公園の敷地内を散歩でもしようかと考えて立ち入ったところ、日本人を探す方が難しかったくらいだ。
外国人から道を聞かれることもなぜか多い(話かけやすいのか?)。国際弁護士とはいえないからといって、「I can’t speak English.」で済ますわけにはいかなくなってきた。


このように、英語でのコミュニケーションから逃げ回っていた私ではあるが、「英語くらいは話せないといかんかな~」と痛感した事件にここ数か月で立て続けに遭遇した。しかも、これらの事件は、市民からの相談でも出て来そうな話ばかりである。
もはや国際弁護士ではなくても、英語くらい話せて当たり前の時代になりつつあるのかも知れない(事件を紹介していきたいところだが、前置きが長くなってしまったので次回に続く)。

弁護士 横尾和也

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公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)

7 月 21st, 2014

「配偶者が突然子どもを連れて家を出てしまった。離婚はやむを得ないと考えているが,子どもとこのまま会えなくなるのだけは嫌だ。」という相談を受けることがある。
子どもが配偶者から虐待を受けている証拠があるといった例外的な場合(この場合は「子の監護に関する処分(監護者指定・子の引渡し)」を検討することになる)を除けば,家庭裁判所に離婚調停を申し立てる(その中で面会交流の時期,方法について定めることも求める)ことになる。
このような事案では,子どもを連れ去った配偶者が頑なに子どもに会わせようとせず,「子どもも相手を嫌っており,会いたくないと言っている」と主張することがままある。
しかし,果たして本当にそうなのだろうか?

ほんの数ヶ月前まではどちらの親のことも好きだった子どもが,両親の別居をきっかけにして,別居親に対してだけ強い拒否反応を示すことを片親疎外(Parental Alienation)という。
同居親は,意識的であれ無意識であれ,常日頃から子どもに別居親の悪口を言ったり,別居親の話題が出たら不機嫌になったり,極端な話になると別居親の存在を消そうとする(死んだとか,遠くに行ったという話をする)ので,子どもは,別居親が自分にとって不要な存在であるという印象を植え付けられていくことになる。両親の離婚紛争に巻き込まれた子どもは,忠誠葛藤の中で同居親の愛情を失わない為の生存戦略として,能動的に片親疎外に加担すると言われている。
上記のような主張をする人には,自分の感情を子の感情と同一視していないかどうか,子どもが片親疎外に陥っていないかよく考え,安易にそのような主張をして子どもを父性・母性の片一方しか実感できない環境に置くようなことはしてもらいたくないと思っている。

両親が離婚してしまった後といえども,子どもにとって2人が親でなくなることはない。
面会交流は,子どもが親の愛情を確認し,健全な心で成長していくための,子どものためのものである。子どもとの面会交流の取り決めの中に他の離婚条件との取引(「養育費を払わないなら子に会わせない」等)を持ち込もうとする人もいるが,それは根本的に間違えている。

公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)では,家庭裁判所の手続ではなかなか解決しづらい面会交流の問題等に対し,相談や援助を行っている。
同センターで行っている離婚協議等調停手続(かいけつサポート)は,家庭裁判所のものと違って,夫婦同席で行われ,休日や夜間でも調停が開かれることになっている。冒頭では,家庭裁判所に調停を申し立てることになると書いたが,夫婦同席のもとで将来に向けて話し合いをしたいという気があるのであれば,FPICを利用してみるのも良いのではないだろうか。
ホームページアドレスはhttp://www1.odn.ne.jp/fpic/
大阪ファミリー相談室の電話番号は06-6943-6783 (申込受付は月~金 午前10時~午後4時)

弁護士 横尾和也

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福祉による更生

4 月 8th, 2014

刑事弁護をやっていると,再犯を防止するという観点からは,刑罰を科すのではなく,社会福祉によって生活環境を整えてあげる方が良いと思う事案にあたることがある。今回は,そのことを強く実感した事件をご紹介したい。

被告人(以下「Aさん」という。)は,生活保護を受けていたのだが,知的障害があってお金の管理が上手く出来ず,手元にお金が無くなると窃盗を繰り返していた(自宅はゴミ屋敷同様に物が散乱している状況であったという)。
刑事裁判にかけられるのは初めてだったため,懲役刑になったとしても執行猶予が付くことが見込まれたが,生活環境を変えない限り,また同じように窃盗をしてしまうことが強く懸念された。そこで,Aさんの日常生活を従前からサポートしてくれていた人を通じて社会福祉協議会に相談し,裁判が終わって社会に戻った後の生活環境の整備をお願いした。
弁論では,社会から隔離された場所での冷たい刑罰を科すよりも,人の温もりが感じられる場所での暖かい福祉のサポートを受けることが被告人の真の更生に繋がる旨訴えた。とはいえ,Aさんには罰金を支払うだけの経済的余裕がなかったため,罰金刑になると労役場に行くことになってしまうし,懲役刑に執行猶予が付いたとしても,執行猶予期間中に万が一再犯となると執行猶予が取り消され,長期の懲役刑に服することになってしまうため,なかなか悩ましい事案であった。

事前にAさんに知的障害がある旨伝えていたこともあったのか,担当裁判官の訴訟指揮は,(私には初めての経験だったのだが)裁判官自ら高い檀上からわざわざ証言台の前まで降りてきて,Aさんの側までやってきて質問する等,Aさんに配慮していることが感じられるものであった。
この裁判官なら良い判決を書いてくれるのではないかと思っていたところ,出た判決は,罰金刑であったものの,未決勾留日数のうち,その1日を5000円に換算してその罰金額に満つるまでの分を刑に算入してくれたため,裁判が終わると同時に刑罰を受け終わったことになった(つまり,実質的に科せられる刑罰はない)。
Aさんは,判決後にその場で釈放され,その日のうちに判決を傍聴に来ていた社会福祉協議会の担当者とともに事前に押えていたショートステイの施設まで行って入所の手続をした。Aさんは施設でとりあえず3か月間生活し,安定した地域生活への復帰を目指していくことになった。

刑務所等の矯正施設からは,年間約3万人の人たちが出所しているという。その中には,安定して地域生活を送ることが困難な状況に陥ってしまう人もいる。
その支援のため,福祉と司法がタッグを組んで「地域生活定着支援事業」を開始し,全国都道府県に「地域生活定着支援センター」の設置が進められている。刑事弁護人としての活動の段階で,こういった制度の利用を視野に入れておくことは大切だと思う。
私はこの事件での裁判官の判決を福祉への期待が込められたものだと受け取ったのだが,皆さんはどう思われるだろうか。

弁護士 横尾和也

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相続クーデターにご用心

12 月 23rd, 2013

皆さんの中に,相続クーデターという言葉を聞いたことがある人はいるだろうか。
簡単にいえば,ファミリービジネスの非公開会社で相続時に起こりうる「乗っ取り」のことだ。

株主の個性が問題となる小規模の会社では,たいてい定款に株式の譲渡制限を規定している。
会社法は,すべての種類の株式について譲渡制限のある会社以外を公開会社と定義している(会社法2条5号)。すべての株式に譲渡制限があって,株主構成が変化しにくい会社が非公開会社という訳だ。
ファミリービジネスという言葉は,経済産業省のウェブサイト(http://www.meti.go.jp/policy/local_economy/nipponsaikoh/family.html)上に定義らしきものがあるが,ここでは,創業者一族が経営の主体となっている会社という程度で,法人税法上の「同族会社」(上位3株主の持ち株比率があわせて50%を超える会社)とは区別する意味で使用していることをあらかじめお断りしておきたい。

典型的なファミリービジネス企業では,社長とその相続人が過半数ないし2/3以上の割合の株式を保有していることが多いのではないだろうか。
このような会社が非公開会社の場合,たいてい定款で会社法174条の「相続人等に対する株式の売渡請求」が定められている。
定款に株式の譲渡制限を規定していても相続による株式の移転は防ぐことができないが,この規定を設けることによって,相続による株式の分散を防止することができる。確かに便利な規定であり,市販されている非公開会社のモデル定款には殆どこの規定が記載されている。
しかし,この規定には落とし穴がある。

相続クーデターが起こる仕組みを,以下のような具体例で示してみたい。
創業者の代表取締役Aが60%,後継者であり創業者の唯一の相続人である取締役Bが10%,取締役Cが30%の株式を保有している会社で,Aが死亡したとしよう。
一見,株主構成が安定しており,滞りなく後継者Bに経営権が承継されていくように思える。 しかし,ここで,Cが臨時株主総会を招集し,この総会において,会社法176条の規定に基づき,Bに対して株式の売渡請求を行ったとしたら,どのようなことが起こるだろうか。 
この総会では,Bは議決権を行使できない(会社法175条2項)。Bの議決権は相続した分以外の,もともと保有していたものまで行使できないとされている。したがって,Cが売渡請求に賛成すれば特別決議が可決されてしまう。会社はCの思うがままになり,乗っ取りが成功する。Aにかけていた死亡保険金をBからの株式買取の資金に使い,Aへの死亡退職金を非常に少ない額で決定することも可能になってしまう。

いろいろと対策はあるが,もっとも簡単なものは,遺言で株式の承継者を定めておくという方法だ。
会社法174条の規定は「相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し」となっているので,Aの株式をBに遺贈すれば(特定承継になるから)会社法174条の適用はない。但し,株式の遺贈の場合はその代わりに会社法137条の手続きによる譲渡承認が必要となる。

相続クーデター対策として遺言を用いる場合の注意点を最後に述べておきたい。
市販されている遺言書のサンプルには,「~を相続させる。」という文言が記載されていることがある。これは,「相続させる旨の遺言」というもので,遺産分割方法の指定であり,遺贈とは区別される。遺贈で不動産を承継した場合,所有権移転登記には受遺者である相続人と遺贈義務者である他の相続人全員との共同申請が必要である一方,相続させる旨の遺言で承継した相続人は,単独で相続登記ができるし,登記申請を遺言執行者と共に申請する必要もなく(最判平成7年1月24日判時1523号81頁),登記なくして第三者に対抗できる(最判平成14年6月10日判時1791号59頁)というメリットがある(平成15年4月1日までは,不動産登記にかかる登録免許税の税率が遺贈で1000分の25,相続は1000分の6で節税効果があったが,現在は同じ税率になったため節税の意味はない)ために多用されている。
しかし,「相続させる旨の遺言」の法的性質は上記のとおり,遺産分割の指定であるから,相続人は当該遺産を一般承継する。株式を遺贈すべきところを,遺言書のサンプルのとおりに「相続させる」と記載すると,一般承継となってしまい,会社法174条が適用される(株式売渡請求の対象となる)ことになってしまうので,要注意だ。

弁護士 横尾和也

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