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判決書の作成と送達

10 月 26th, 2011

民事訴訟法252条では,「判決の言渡しは,判決書の原本に基づいてする。」と規定されている。民事訴訟法254条1項に定められている例外(被告が争わず,原告の請求を認容するとき)を除けば,民事事件の判決は,判決書が出来た状態で,裁判官がそれを朗読し,その判決書は言渡しの日から二週間以内に送達されることになっている(民事訴訟規則159条1項)。

 

一方,刑事訴訟法には,上記のような民事訴訟法の規定に相当するものがなく,刑事事件では,「判決書は,判決宣告の際に必ずしも作成せられていることを要しない(最判昭和25年11月17日・刑集4・11・2328)」とされている。

判決書の送達も当然になされるわけではなく,判決書謄本の請求をしなければならず,1頁につき60円を支払わなければならない。判決書を判決宣告時に必ずしも作成しておく必要がないことと関係しているのであろうが,謄本が送達されてくるのも判決言い渡しから2週間以内とは限らない。調書判決だと,判決が確定してから作成することになっているようだ。

 

ところが,私の担当した刑事の否認事件で,有罪の判決宣告日から3ヶ月以上経っても判決書が送られてこなかったことがあった(判決書謄本の請求は判決期日に行っている)。

上記で引用した裁判例では,判決宣告時に判決書を完成させていなかったことが違法ではないと判断されているものの,「判決の主文は,言渡の際に文書に記載されていたものということができる。」と認定したうえでの判断であるし,また,「もとより判決は,その宣告するところと判決書に記載するところと異るようなことがないように,判決宣告の際に判決書の作成せられていることが望ましいことであり,殊に本件のように判決宣告後四〇日を経て判決書が作成せられるようなことは,妥当とはいえない」とも述べられている。

判決宣告日の翌日から14日以内に上訴するか否かを決めなければならない関係で大いに問題があると思うので,刑事事件の判決書の作成時期と送達時期も,民事事件と同じように統一してもらいたいものだ。

 

弁護士 横尾和也


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