テレビなどで国際弁護士という肩書が用いられているのを見かけることがあるが、実際にそのような名称の資格は存在しない。ウィキペディアによれば、
1.日本を含む複数の国や地域の弁護士資格を有する者
2.弁護士資格は日本国外のもののみであるが、日本に居住・就業している者
3.日本の弁護士資格のみを有するが、職務や経歴上で外国や外国企業との関係が深い者
というパターンがあるらしい。
外国弁護士(外国において法律事務を行うことを職務とする者で弁護士に相当するもの)のうち特定の要件を満たす者を、法務大臣の承認を得て日本弁護士連合会に登録することによって、原資格国法に関する法律事務を行うことができる「外国法事務弁護士」という制度はあるが、外国法事務弁護士は上記のパターンのうち2しか含まれておらず、いわゆる国際弁護士とイコールではない。
ちなみに、外国法事務弁護士は、日本の弁護士資格がなくても日本国内において弁護士としての職務を行うことが認められるが、その職務範囲は原則として原資格国法に関する法律事務に限定されており、日本国内での民事・刑事訴訟等を行うことはできない。
私はといえば、事務所全体では外国人の事件を取り扱うことがあるものの、恥ずかしながら英語でのコミュニケーションに自信がないため他の弁護士に担当してもらうことでなるべくその種の事件には関わらないようにして(逃げ回って)きたので、国際弁護士と名乗ることはとうていできない。
しかし、昨今、経済社会のグローバル化、LCC(格安航空会社)の普及、円安等の影響なのか、外国人を街中で見かけない日はないといってもよいくらいになってきた。つい先日、平日の昼間に大阪城公園の近くに用事があったため、花見がてら大阪城公園の敷地内を散歩でもしようかと考えて立ち入ったところ、日本人を探す方が難しかったくらいだ。
外国人から道を聞かれることもなぜか多い(話かけやすいのか?)。国際弁護士とはいえないからといって、「I can’t speak English.」で済ますわけにはいかなくなってきた。
このように、英語でのコミュニケーションから逃げ回っていた私ではあるが、「英語くらいは話せないといかんかな~」と痛感した事件にここ数か月で立て続けに遭遇した。しかも、これらの事件は、市民からの相談でも出て来そうな話ばかりである。
もはや国際弁護士ではなくても、英語くらい話せて当たり前の時代になりつつあるのかも知れない(事件を紹介していきたいところだが、前置きが長くなってしまったので次回に続く)。
弁護士 横尾和也